近年、患者数が増えてきていると言われる病気の一つに、「突発性難聴」があります。
病名からもなんとなく想像はできると思いますが、突発性難聴は、突然耳の聞こえが悪くなる病気です。
昨日まではなんともなかったのに、朝目が覚めると発症しているような、本当に突然発症する難聴として知られています。
多くの人が一度は聞いたことがあるような病気ですが、実はその原因はいまだに明らかになっていません。
これまでの研究では、内耳のウイルス感染、循環障害、日常生活のストレスなどが関与していると考えられています。
中でも、ストレスによって突発性難聴の患者数が増えているのではないかという声もあります。
直接的な原因でなくても、肉体的・精神的なストレスが、突発性難聴の引き金になることは、様々な研究からも十分にあり得る話です。
強いストレスを感じると、交感神経が活発化して血管の収縮が起こります。
血管が収縮すると、内耳は血流不足に陥り、酸素などの必要な成分が十分に内耳に供給されなくなってしまいます。
その結果、内耳機能が悪影響を受けて、突発性難聴が発症するというわけです。
また、ストレスにより内耳障害を引き起こすウイルスが再活性する可能性なども指摘されています。
一般的には40~50代の年代で起こりやすいと言われていますが、最近では若い人で突発性難聴になる人の数も増えているようです。
ストレス社会と言われることも多い現代では、どうしても様々なストレスを抱えながら生活をしている人も多いでしょう。
新型コロナウイルスの影響で、今までになかった強いストレスを強いられている人も大勢います。
ストレスは避けられない、仕方のないものだと諦めてしまうと、心身に確実な悪影響を及ぼし、ある日突然耳が聞こえなくなる突発性難聴を発症してしまうかもしれません。
突発性難聴は、左右どちらかの耳に発生することが多いのですが、まれに両耳同時に突発性難聴になることもあります。
また、耳鳴りやめまいなどの症状が難聴の発生の前後に現れる場合もあります。
なんとなく聞こえにくいと感じるケースから、音や声がこもったように聞こえる、大きな音でもほとんど聞こえない、耳鳴りがするなど、症状の現れ方は人によって、またその時によって異なります。
耳に痛みを伴う時や、めまいからくる吐き気などが見られる場合もあります。
普段より聞こえにくいことが、さらなるストレスとなり、難聴の症状の悪化につながる恐れもあります。
ストレスを甘く見ず、ストレスと上手に向き合って生活することで、突発性難聴の予防にもつなげていければと思います。