全身の血液は、心臓のポンプ作用によって循環しています。
上半身の血液は比較的容易に心臓へ戻っていきますが、下半身の血液は重力に逆らいながら心臓へ戻されることになります。
そのため、下半身の血流は滞りやすく、心臓のポンプ機能だけでは、全身の血液を循環させるのにかなりの負担となることが想像できるでしょう。
そこで、下半身の筋肉が血管のまわりで収縮や弛緩を繰り返すことにより、下半身の血液が心臓に戻る作用を手助けしています。
この筋肉のポンプ作用の動きが、乳しぼりの動作に似ていることから、「ミルキングアクション」とも呼ばれています。
また、大きな筋肉が集まっているふくらはぎは、下半身の血液を押し戻すのに非常に重要な存在であることから、「第2の心臓」と呼ばれることもあります。
最近、健康な体づくりにおいて、このミルキングアクションが今まで以上に重要視されています。
特に自粛生活などで運動機会が減ってしまった人は、ミルキングアクションも低下して、下半身の血流が悪くなり、結果的に全身の血流の低下を招いてしまうケースも急増しているようです。
今までに、長時間車に乗っていたら足が浮腫んでしまった経験はありませんか?
これは、長い時間下半身の筋肉を動かすことができなかったために、ミルキングアクションが低下して、脚の血流が著しく滞ることによって浮腫みが起きた状態です。
そして、長期間で運動をしていない生活においても、同様の現象が当てはまります。
運動しなければ筋力が衰え、ミルキングアクションの低下を招いてしまうのです。
テレワークやデスクワークで1日中座りっぱなしの生活は、下半身の筋力を低下させて、下半身の血流悪化を招き、全身の血液の流れを悪くしてしまいます。
こういう生活スタイルの人こそ、日々ウォーキングやジョギングなどの運動を少しずつでも取り入れることが大切です。
本格的なジム通いや、ハードな筋トレでなくても、ミルキングアクションの低下を防ぐには、継続した運動習慣が何よりも大切です。
まずは今よりも1日20~30分程度、歩く時間を長くしてみませんか?
家の階段の上り下りを数分間繰り返すような、手軽な運動から初めてもOKです。
ふくらはぎをしっかりと使い、ミルキングアクションを十分に機能させて、全身の血流を促しましょう。