いびきをかいて寝ていると、ぐっすり眠れているような気がしますよね。
でも実はその逆で、寝ている時にいびきをかいている場合、睡眠の質が低下し、体には大きな負担がかかっているサインであることが多いのです。
【なぜいびきをかくのか?】
仰向けになって寝ると、舌のつけ根が奥へ下がり、その周辺の筋肉が緩みます。
すると、のど(上気道)が狭くなります。
呼吸の際に、そこを通る空気が発する振動音がいびきです。
健康な人の場合、のどが極端に狭くなることはないので、寝息程度の呼吸音しかしません。
しかし、何らかの原因によってのどの狭まりがひどくなることで、大きないびきとなってしまうことがあります。
【慢性的ないびきの危険性とは?】
特に注意しなければならないのが、慢性的ないびきです。
疲れている時や深酒をした時などにもいびきをかくことがよくありますが、こうした一時的ないびきはそれほど心配はいりません。
慢性的ないびきの場合は、毎日の睡眠において、常にのどが狭くなっていることになります。
すると、呼吸をしても空気(酸素)がうまく取り込めないため、寝ている間も苦しさを感じ、体は無意識に必死で空気を取り入れようとします。
それがのどの振動を促し、大きな音、つまりいびきとなってしまうのです。
そのため、慢性的ないびきには、「睡眠時無呼吸障害」という名前が付けられています。
いびきをかく人は、睡眠時の血液中の酸素量が低下していることが考えられます。
ひどい人では、健康な人と比べて、およそ30%も酸素量が低下してしまう場合もあるほどです。
【いびきと生活習慣病の関係性】
このように、いびき=熟睡ではなく、むしろ呼吸障害によって睡眠の質の低下を招いている可能性があります。
また、最近では、いびきと生活習慣病の関連性について、注目されています。
大きないびきを日常的にかく人は、高血圧や狭心症、心筋梗塞、糖尿病などの合併症を起こしやすいことが、明らかになってきています。
例えば高血圧の場合、いびきをかくことで酸素が体内にうまく取り込めず、血液中の酸素濃度が低下します。
すると、体内に酸素を補給しようと、心臓が血液を多く送り出そうとし、心拍数が上昇します。
これだけでも血圧上昇の原因ですが、血液中の酸素濃度が低下すると、二酸化炭素濃度が高くなり、血管の収縮が起こって、さらなる血圧の上昇を招くことになるのです。
実際に高血圧症の人には、大いびきをかく人が多く見られます。
たかがいびきと甘く見ていると、いびきの音がうるさいという悩みだけでなく、本格的な体の不調へとつながっていくことも十分考えられます。
いびきの対策については、次回もう少し詳しく説明していきましょう。