本文へ

子供だけじゃない!原因の異なる大人の『てんかん』

脳が一時的に過剰に興奮することで、けいれんや意識喪失などの発作を繰り返してしまう病気が「てんかん」です。

てんかんと聞くと、子供に多い、子供しかならないというイメージを持つ人も多いようですが、実は子供よりも大人、特に高齢者に多い病気なのです。

 

【てんかん発作が起こる理由】

私たちの脳は、およそ1000億個もの神経細胞からなる、非常に複雑なネットワークです。

脳から全身に指令が送られる時、神経細胞には電気信号が起こります。

これにより、体を興奮させたり、抑えたりと、そのバランスをコントロールしながら、毎日脳は活動しています。

ところが、この電気回路が、何らかの原因でショートして過剰な興奮が起こると、体が発作を起こしてしまいます。

これがてんかん発作です。

 

【てんかんの主な原因】

 

・子供の場合

素因性、脳の形成異常、脳炎など

 

・高齢者の場合

脳卒中、脳神経の変形、脳腫瘍など

 

子供のてんかんの主な原因は素因性、つまり子供は成長過程でどうしてもてんかんになりやすい部分があります。

成長とともに脳が著しく発達していく時期には、その過程で脳の電気回路がうまくはたらかず、てんかんを発症することがあるのです。

 

一方、高齢者のてんかんの原因で最も多いのが、脳卒中です。

血管が詰まったり、破れたりして、脳の電気回路に障害がおこり、てんかん発作につながってしまうことは、珍しくありません。

また、てんかんの発作というと、全身けいれんが真っ先に浮かびますが、高齢者の場合は部分発作が多くを占めます。

これは、脳の一部分だけが過剰な興奮状態になることで起こるもので、意識がある場合とない場合があります。

例えば、運動を司る部分に異常が起こると、口をもごもごしたり、手をもぞもぞさせるなどの症状が現れます。

感覚や意識を司る部分で興奮状態が起これば、一点を見つめたまま行動が停止したり、急に答えや反応が返ってこなくなるといった症状や、何をしていたか覚えていないなどの記憶障害が起こることもあります。

これらも全て、てんかんの症状の一つなのです。

 

見落としてしまいがちな症状も多い大人のてんかん。

存在を知っておくだけでも、いざという時の大切な判断材料になるはずです。