一酸化窒素(NO:エヌオー)は、排気ガスなどに含まれている化学物質です。
これだけ聞くと体に悪いイメージが浮かびますが、実は一酸化窒素は体内でもつくられています。
そして体内で発生した一酸化窒素には、健康に役立つ様々な効果があることが、近年明らかになってきているのです。
一酸化窒素の主な効果は、血管を柔らかくしたり、拡張したりするはたらきです。
血管は加齢とともに硬くなり、しなやかさが失われていきます。
これにより、高血圧や生活習慣病のリスクが増加してしまいます。
しかし、同じ年齢の人でも、血管の柔らかさやしなやかさには個人差があり、これには運動習慣や食生活など、様々な要因が関係しています。
衰えていく血管力を高めるために注目されているのが、体内で産生される一酸化窒素なのです。
また、血管を柔らかくするのに必要不可欠な運動が苦手な人でも、簡単な動作によって一酸化窒素の発生量を増やすことができると考えられています。
本格的な運動習慣のない中高年世代の人でも、効率良く血管力を高める効果が期待できます。
では、どのようにして一酸化窒素を増やせば良いのでしょうか。
一酸化窒素は、血管の内皮細胞から産生されます。
産生が増えるタイミングとしては、血流が加速される時です。
血管内の血流が加速すると、一酸化窒素の産生に重要な酵素がはたらき、一酸化窒素の合成を促します。
もちろん、運動によって血流を加速させるのも効果的ですが、運動が苦手な人は、簡単な動作によって一酸化窒素の産生を促しましょう。
【一酸化窒素の産生を促すタオルグリップ体操】
1.片手で細長く丸めたタオルを握る、握った時に親指とほかの指がつかないようにタオルの太さを調整し、2分間しっかりと握る。
2.力を抜いて少し休憩をしてから、もう片方の手で2分間同様にタオルを握る。
このように、タオルを握るという簡単な動作で、血管を柔らかくする一酸化窒素の産生を促すことができます。
また、タオルを握るという方法以外にも、手をぎゅっと握って力を抜くという動作を繰り返したり、両手の手の平を押しあって力を入れる、腹筋にぐっと力を入れては緩めるなどの方法でもOKです。
そのほか、湯船で体を温めたり、一酸化窒素の産生に関わる酵素を活性化させる食材を食べる(青魚、緑茶、緑黄色野菜、ピーナッツ、高カカオチョコレートなど)なども有効だと言われています。
血管力を高める一酸化窒素を増やすには、これらの方法を毎日継続して行うことが重要です。
日々の簡単な行動によって体内の一酸化窒素の産生を促し、高血圧や生活習慣病の予防にも役立てていきましょう。