新型コロナウイルスの影響で、私たちの生活様式は大きく変わりました。
できるだけ人と会わずに過ごす、いわゆる自粛生活の長期化によって、体の様々な“衰えの加速”を助長していると言われています。
特に注意したいのが、「フレイル」対策です。
フレイルとは、海外の老年医学の分野で使用されている「フレイルティ(Frailty)」を日本語で表した言葉です。
フレイルティを日本語に訳すと、虚弱や脆弱(ぜいじゃく)、老衰などになります。
日本老年医学会は、高齢者において起こりやすいフレイルティに対し、正しく介入することで予防や改善が可能であるということを強く示すために、フレイルという共通した日本語訳を提唱しました。
フレイルを簡単に説明すると、
『加齢とともに心身活動(運動機能や認知機能など)が低下し、自身の虚弱性や脆弱性が出現してしまうことで生活機能がおびやかされてしまう、また自立度が低下してしまう。一方で、適切な医療の介入や支援によって、生活機能を維持向上させ、改善していくことができる。』
という考え方のことを指します。
自粛生活の長期化により、フレイルの3大要素である
・身体的な衰え
・認知機能の低下
・社会的な衰え
が、新型コロナウイルス流行前と比べて加速している状態であると言われています。
【フレイル悪化を防ぐためにできること】
身体的機能の維持
自粛生活によって、外出や運動の機会が大幅に減少してしまった人も多いでしょう。
しかし、限られた状況の中でも、意識や工夫次第で、身体的な衰えを防ぐことは十分可能です。
近所を散歩がてら歩いてみたり、今まであまり足を運んだことがなかった場所を歩いてみると、新しい発見や刺激があるかもしれません。
また、家の中で簡単な運動やトレーニングなどで、意識的に体を動かしましょう。
自粛生活によって筋肉の質や量が衰えてしまうと、転倒やケガのリスクを高めたり、免疫力の低下、肥満のリスク増、生活習慣病などにもつながります。
人とのつながりの維持
なかなか人と会えない日々が続いたり、仕事もテレワークがメインになったことで、人と接する機会が激減してしまった人も少なくないでしょう。
今なお人との関りが制限される状況下では、オンラインや、昔ながらの手紙のやり取りなどで、人とのつながりの維持に努めることはとても重要です。
毎日気をやむようなニュースばかりが目や耳に入ってきますが、たまには暗い話題から離れて、友人や知人と話したり、誰かに手紙を書いてみましょう。
孤独感や精神的なストレスは、やがて身体的なダメージにもつながっていきます。
コロナ禍でフレイルを加速させないためにも、今できること、今だからやるべきことをしっかりと把握して、積極的な健康維持に努める意識がとても大切です。
むしろコロナウイルスの影響をきっかけに、健康にプラスになる新しい習慣を身に付けることができると良いですね。