「薬の効き方」について、考えたことはありますか?
例えば、胃の薬は胃に届いたら効く?
頭痛の薬は頭に届いている?
あまり深く考えたことはないかもしれませんが、長い人生で薬を口にする機会は、誰にでもあることでしょう。
薬を飲むと体でどんなことが起きるのかを知っておくことで、正しく薬を飲むことや、薬で体に負担をかけないことなどにつながると思います。
【薬が効く仕組み】
胃が痛い時に飲む胃薬の多くは、胃の粘膜に直接くっついて治すわけではなく、胃痛の原因となっている胃酸の分泌を抑えるようはたらきます。
そのため、胃薬は胃を通過し、腸で吸収された後に効き目を発揮します。
頭痛薬も、頭に直接届くのではなく、口から飲むだけで痛みの和らいでくれますよね。
このように、薬は痛みや不調のある部分に直接作用するのではなく、ほとんどの場合が、胃や腸で溶けてバラバラになり、主に腸から体内に吸収される形で血管の中に入ります。
血液とともにまず肝臓に運ばれた薬の成分は、そこから全身をめぐり、目標の場所で効果を発揮します。
これが、薬が効くということです。
【薬の効き方】
薬の効き方には、大きく分けて2つあります。
・体内で病気のもとになる細菌やウイルスなどの原因を直接やっつける。(抗生物質など)
・人間の体が持っている機能を利用して症状を改善する。(痛み止め、胃薬、花粉症の薬など)
インフルエンザや食中毒など、直接原因菌を退治するのに使われるのが抗生物質です。
一方で、痛み止めは直接炎症を止めるわけではなく、痛みを感じさせる物質をつくらないようにはたらきかけます。
胃薬は胃酸の分泌を抑える、花粉症の薬はアレルゲンをブロックして症状を抑制するなど、体の機能にはたらきかける薬があります。
このように、一言で薬といっても、その種類や効き方には違いがあります。
なお、薬の多くは、主に血液を通って肝臓に運ばれ、分解され、腎臓から尿として排出されたり、肝臓から分泌される胆汁に混じって便と一緒に排泄されます。
ただし、薬によっては、汗や唾液、母乳などに混じって体外に出るものもあるので、授乳中に飲んでも大丈夫なものもあれば、注意が必要な薬もあるのです。
薬は、正しく飲まないと、かえって体に害を与えるものになってしまうこともあります。
自分に本当に必要な種類の薬を飲むことで、症状を和らげたり、回復を早めたりすることができるようになります。