「骨卒中」という言葉を聞いたことがありますか?
骨卒中とは、一度骨折することで、その後の健康寿命及び寿命が極端に短くなることです。
特に高齢の人の場合、骨折によって自力で歩くことが難しくなってしまったり、亡くなるまでの期間が大幅に短くなってしまう恐れがあります。
65歳以上の高齢者が足の付け根を骨折すると、5年後の生存率が約60%になるというデータもあるようです。
つまり、骨折自体で命を落とすわけではないけれど、骨折によってその後の人生が大きく変わってしまう、最悪の場合、骨折が引き金となって健康寿命が大きく失われてしまうことがあり得るということです。
【骨の強さ】
私たちの健康を支える重要な要素の一つが「骨」。
その骨の強さは、約7割が「骨密度」、約3割が「骨質」によって決められるといわれています。
骨密度は、20代の頃をピークに、加齢とともに減少していきます。
骨質は、低下すると骨がもろく折れやすくなってしまいます。
加齢とともに骨が弱くなると、単純な骨折でも骨の再生がうまくいかなくなり、骨はどんどんもろくなって、健康な状態を保てなくなってしまいます。
【弱い骨ができる仕組み】
私たちの体内では、古くなった骨を壊す「破骨細胞」と、新しい骨を埋める「骨芽細胞」がはたらいて、骨の入れ替わりが行われています。
2つの細胞がバランス良く機能することで、強い骨が形成されていきます。
しかし、このバランスが崩れて破骨細胞のはたらきが上回ると、骨をつくる速度が追い付かなくなり、骨がスカスカになる、つまり弱くもろい骨が形成されてしまいます。
これにより、少しの衝撃でも骨折しやすくなる「骨粗しょう症」につながります。
骨密度や骨質が低下した状態で骨折してしまうと、新たに強い骨をつくる能力が弱く、骨はどんどん弱くなってしまうという悪循環が起こります。
そのため、特に高齢の人の骨折には、特に注意しなくてはなりません。
また、若い人でも、
・栄養不足(極端な痩せ型)
・運動不足
・強いストレス状態
などの条件が揃うことで、骨が弱くなるリスクを高めてしまいます。
骨密度を高める栄養(カルシウムやビタミンD)と、骨質を良くする栄養(たんぱく質やビタミンK)を積極的に摂取し、骨折や骨粗しょう症を予防する強い骨づくりを目指しましょう。