最近、朝起きた時に胸やけを感じたり、夜寝る前に胃がムカムカして寝付けない、食後に胃や胸に痛みや不快感を感じるなどの症状はありませんか?
これらは、「逆流性食道炎」の代表的な症状です。
その名の通り、胃酸の逆流によって起こる逆流性食道炎ですが、近年この胃酸の逆流を起こす人の数が増えているといわれています。
胃から分泌される消化液である胃液には、強い酸である胃酸が含まれています。
私たちの胃は、この強い胃酸の影響を受けないように、粘膜などで守られています。
ところが、ひとたび胃酸が食道などの胃の外に流れ出てしまうと、炎症などを引き越してしまうのです。
胃酸の逆流がひどい場合には、食道だけでなく、その先にある歯が溶けてしまったり、せきが止まらなくなる、中耳炎になるなど、口内やのど、耳などにまで胃酸の影響が及ぶこともあります。
【胃酸の逆流による影響】
・胸やけ
・胃もたれ
・胸痛
・胃痛、胃の不快感
・歯のトラブル
・せき
・のどの痛み
・中耳炎 など
胃酸の逆流による症状に悩む人の数が増えていることの背景には、現代の日本人の胃酸の増加が関係しています。
ある研究では、日本人の胃酸をつくる細胞が、ここ40年ほどでおよそ1.35倍になっていたというデータがあります。
これには、戦後の食生活の変化によって肉を食べる機会が多くなったり、食事のスタイルや内容が欧米化したことが大きく関わっているようです。
魚より肉を多く食べ、脂っこい食事が増えたことで、胃から分泌される胃液の必要量も増え、それにともない胃液の中に含まれる胃酸がつくられる量も増加しました。
また、胃炎を起こして胃酸の分泌を減らすピロリ菌の感染者が減ったことなども、胃酸の分泌量が多い人が増えている要因の一つであると考えられています。
【胃酸が逆流しやすい人】
・太っている
・猫背、姿勢が悪い
・食べるのが好き
・お酒をよく飲む
・ストレスが多い
・食べてすぐ横になる癖がある
【胃酸の逆流を防ぐ生活のコツ】
・食べ過ぎない(常に腹八分程度を意識する)
・食後すぐに横にならない
・寝る2時間前には食事を済ませる
・お酒を控える
胃酸が逆流しやすい人には、いくつかの特徴があります。
特に肥満の人や猫背の人は、それだけで胃酸が逆流しやすい状態なので、特に注意が必要です。
食事を毎回お腹いっぱい食べすぎると、肥満にもつながるだけでなく、消化のために多くの胃液が必要になって胃酸の量も増えます。
胃酸の分泌を抑えるコツは、腹八分目の食生活を心がけることです。
また、肉より魚、揚げ物より煮物などの日本人らしい和食中心の食事を意識することも、胃酸の増加を予防します。
寝る2~3時間前にはなるべく食事をとらない、食後はすぐに横にならないことも、逆流性食道炎を防ぐポイントです。
歯や耳にまで影響を与える胃酸の逆流をできるだけ予防する生活習慣を身に付け、体を胃酸から守りましょう。