近年、花粉やほこりによる鼻のムズムズや不快感、鼻水などの症状の改善に役立つ成分として注目されているのが、「酢酸菌(さくさんきん)」です。
【酢酸菌とは】
酢酸菌は、アルコールからお酢の成分である酢酸をつくり出す最近の総称で、お酢を作る時に必要不可欠な存在です。
また、お酢以外にも、ココナッツミルクを発酵させたナタデココや、カスピ海ヨーグルトなどにも、酢酸菌が使われています。
さらに、実は酢酸菌は空気中に浮遊している成分であるほか、ぶどうなどの果実や柿、リンゴの皮、梅、はちみつなどにも存在しています。
【酢酸菌のはたらき】
酢酸菌の表面には、
「アルコール脱水素酵素」と「アルデヒド脱水素酵素」という2種類の酢酸菌酵素が存在しています。
アルコール脱水素酵素でアルコールを分解してアルデヒドを生成し、さらにアルデヒド脱水素酵素によってアルデヒドを分解して、酢酸をつくります。
この2つの酢酸菌酵素のはたらきによって、酢酸菌はアルコールを酢酸に変換することができるのです。
また、酢酸菌は、アルコールから酢酸を生産することによって、pHを低下させ、ほかの微生物を寄せ付けない環境をつくり出し、防腐や殺菌のはたらきをします。
お酢ならではの強い酸味や、ツンとした刺激臭は、酢酸菌のはたらきによってつくられた酢酸によるものです。
この酢酸菌に、花粉症の症状を改善する効果があることが、様々な研究によって明らかになってきています。
特に酢酸菌による改善効果が期待できる症状が、
・花粉症による鼻づまりや鼻のムズムズ感
・ほこりやハウスダストによる鼻水や鼻の不快感
・アトピー性皮膚炎による肌の荒れや赤み
などの辛いアレルギー症状です。
現代の日本は、アレルギー大国と呼ばれることがあるほど、昔に比べて様々なアレルギーの症状に悩む人の数が増えました。
およそ30~40年の間で、花粉症患者数は20倍近くに急増しているとも言われています。
アレルギー症状の原因は、簡単に言うと、免疫細胞の勘違いです。
本来なら体に害のないはずの花粉やほこりなどの物質を、ウイルスや細菌などと同じように病原菌だと勘違いして、体外へと追い出すための刺激物質をつくり出してしまうことで、様々なアレルギー症状が起こります。
この勘違いを起こさない免疫細胞を持ってる人が、アレルギー症状が出ない(出にくい)人ということになります。
そして、この免疫細胞に、実はアレルギーを抑制できるスイッチのようなはたらきを持つものが存在しています。
このアレルギー抑制スイッチが、酢酸菌と深く関係しているので、それへまた次回詳しくお話していきましょう。