成人してから、生えそろった歯のさらに奥に生えてくる「親知らず」。
横向きに生えてきてしまったり、4本全ての親知らずを抜く処置を行う人も多く
その存在意義に疑問を持つ人も少なくないでしょう。
確かに親知らずは、他の歯と比べて圧倒的に真っすぐ生えてこないことが多く
結局抜かなければならないというケースがよくあります。
どうせ抜かれる運命なのに、何のために生えてくるのでしょうか。
【親知らずとは】
親知らずは、一般的に前歯から数えて8番目、最も奥に生えてくる大きな歯のことを指します。
最大で上下左右に1本ずつ、合計4本あることになりますが、人によって1~3本の人、そもそも親知らずが全くない人
あっても生えてこない人など、様々なケースがあります。
なお、親知らずの名前の由来は、子供のうちに生える歯ではないことから、「親が生え始めを知らないため」や
平均寿命が今より短かった時代に、「子供の親知らずが生えてくる前に親が亡くなってしまうため」など、様々な説があります。
【親知らずが真っすぐ生えない理由】
もちろん、4本全ての親知らずが、キレイに真っすぐ生えてくる人もいます。
このような場合には、親知らずの手入れも比較的簡単にできるので、抜歯せずにそのまま残すことが多いでしょう。
しかし、歯が生えそろった後に、最も奥に生えてくる親知らずは、残されたスペースが狭いことで
どうしても横向きに生えてきたり、一部が歯茎に埋まってしまうなどの生え方になりやすいと考えられます。
このような場合には、普段の歯磨きでどうしても磨き残しが増えやすく、虫歯のリスクも高まるほか、
生え方によっては他の歯を圧迫したり、あごの痛みの原因になることも多く、結果的に抜歯せざるを得ないでしょう。
親知らずの生えるスペースがなくなってきているのは、狩りなどを行っていた大昔の食事と比べ
食べ物や調理方法の変化により、あごがそこまで発達しなくても、食料を食べることができるようになってきたためなどと言われています。
【親知らずが生えてくる理由は?】
大昔の人は、狩りや採集をして、動物の肉や植物などをそのまま食べていたため、丈夫な歯が多くなければなりませんでした。
親知らずは、当時は噛む力を強化するために、大切な存在だったと考えられています。
しかし現代では、32本の歯が揃っていなくても、問題なく食事ができるようになりました。
そのため、親知らずが生えてきても、何のために?と感じてしまいます。
大昔の人にとっては大切な存在であった親知らずも、現代ではどちらかというと厄介者扱いされやすい存在になってしまったのです。
しかし、現代でも親知らずが真っすぐキレイに生えてきて、健康な状態を保つことができれば、大事な自分の歯の一つとして、抜かずにとっておくことも可能です。
必ず抜かなくてはならないものではありません。
自分の歯の健康状態を常に気にかけ、特に親知らずの状態は自分でもしっかりと把握しておくことが大切です。